会長からのご挨拶
高橋清久(国立精神・神経センタ ー 総長)
平成11年から千葉前会長の後任として時間生物学会会長をお引き受けすることになりました。学会を立派に立ち上げられた千葉前会長と違って力不足の私ですが会員の皆様のご協力を頂きながら責任を果たして参りたいと思います。
思い起こしますと本学会の源は二つの研究会の流れに湖ることが出来ます。一つは生物リズム研究会であり、もう一つは臨床時間生物学研究会であります。前者は1984年に、後者は1986年にそれぞれスタートしました。二つの研究会に同時に所属しておられた方も多く、もともと二つの研究会は互いに影響しあいながら、仲良く平行して流れていたように思います。その結果、非常にスムースに両者が合流して学会という大きな本流ができたわけです。したがって、本学会が誕生してから4年を経過したわけですが、その源から数えるともう15年以上の歴史を持つ会になるわけです。ですから発足当時から新しい学会というよりはある程度成育した学会という感じで運営がされていました。特に、研究会時代から事務局の労をとって下さった中島秀明先生が引き続き学会事務局として、きめ細かい運営をして下さったことが、千葉初代会長のカとあいまって誕生とその後の運営が順調に行われた主因だったと思います。
時間生物学と一言に言っても極めて広範囲におよぶ学問です。時計遺伝子の研究といった分子遺伝学的な研究から、視交文上核を中心としたサーカディアン機構を明らかにしようとする生理薬理学的研究、生物l時計が病気とどのように関係するかを極めようという臨床時間生物学、交代勤務や交通事故など社会的問題を視点とした公衆衛生学的時間生物学等々、実に様々な興味・関心が時間生物学に寄せられています。まさに学際研究の最たるものであると思います。
このようにスペクトルの広い学問領域ですから、それだけに無限の発展性を秘めていますし、その一方学会としてまとまっていくために多くの困難が伴うのもやむをえません。学会運営に責任を持つ私どもには、その困難を乗り越え、発展させてゆく責務があります。いかにして、学会をまとめかっ発展させてゆくかについては今後会員の皆様のご意見をできるだけお聞きしながら検討して参りたいと思いますので、会員の方々には是非建設的なご意見をお聞かせ下さい。
私が現在考えているいくつかの課題を思いつくままに列記してみたいと思います。
- 学会員数の増加
現在会員数は456名ですが、時間生物学に関心を持っている研究者はその何倍にも達するでしょう。基礎研究分野にも臨床研究分野にも同様なことが言えると思います。そのような方々に学会に参加して頂く工夫が必要です。 - 学会運営経費の安定化
現在学会運営は年会費のみによって行われております。年会費は3000円で、単純に会員数456をかけると120万程度の予算になります。この運営費では年2回の会誌を出すのがやっとです。活動の幅を広げ、学会を発展させるためには運営経費を増やさなければなりません。その意味からも学会員の増加が必要です。 - 国際および国内交流
時間生物学に関する学会は外国で毎年いくつか開催されています。また、国内でも関連する学会はいくつかあります。このような期間と交流を持つことは学会の発展にとって重要であると思います。 - 研究費獲得の援助
科学技術基本法が制定されて以来、科学研究費が増額されています。それを学会員が少しでも獲得するための戦略を学会で検討することができればよいと考えます。 - 機関紙の発行
現在の年2回の会誌発行の頻度を増やし情報交換に役立て研究レベルの向上を図ることや、学会の宣伝に利用することも重要ではないかと思います。 - 若手研究者の育成
若い研究者が多い学会ほど発展するといわれています。若手にとって魅力的な学会にする工夫が必要です。一案として若手のための研究奨励賞の授与や国際学会出席のための旅費の援助を行うことなどがあると思います。 - 研究会の後援
毎年時間生物学に関連した領域の研究会が聞かれています。そのような研究会を積極的に応援することが必要でしょう。特に本学会会員の方が主催するときなど、時間生物学会後援ということをうたって頂ければ当学会のPRにもなるのではないかと思います。
以上、会長としての所感の一端を述べました。どうぞご批判下さりいろいろと注文をつけて頂きたいと思います。それでは時間生物学会の更なる発展を念じて就任の挨拶と致します。
平成 11年1月 記
