特別講演1:「カラスなぜ遊ぶ-カラス属の知的行動-」
演者:杉田昭栄(宇都宮大学名誉教授,東都大学教授)
座長:飯郷雅之(宇都宮大学/大会長)
特別講演2:時間生物学メモリアルレクチャー
時間生物学メモリアルレクチャー1:本間研一(北海道大学名誉教授) 時間生物学事始め
時間生物学メモリアルレクチャー2:近藤孝男(名古屋大学名誉教授) 概日時計をめぐって,調和振動と緩和振動
座長:飯郷雅之(宇都宮大学/大会長)
シンポジウム1:次世代若手コロキウム
座長:村中智明(鹿児島大学)、川崎洸司(東京大学)
演者&テーマ:
- 澤木友利華 (奈良県立医科大学) 有機EL(OLED)照明とLED照明による光環境下の夜間作業効率と眠気-無作為化クロスオーバー非劣性試験- *ポスター演題(P067)から採択
- 伊藤照悟(京都大学大学院) キタグニコウキクサの光周期依存性の休眠誘導と休眠芽形成時に機能する遺伝子群の解析 *ポスター演題(P020)から採択
- Junfeng Chen(Nagoya University) Seasonal transcriptome atlas of 80 neural and peripheral tissues of non-human primate Macaca mulatta *ポスター演題(P090)から採択
- 福永耕大(琉球大学) ハタ科魚類の月周性産卵行動における産卵月齢の決定要因の探求 *ポスター演題(P041)から採択
- 横溝匠(千葉大学大学院) チリメンカワニナの感潮域適応における活動リズムとトランスクリプトーム動態の可塑的変化 *ポスター演題(P043)から採択
- 廣木 進吾(東京都医学総合研究所) 線虫C.elegansにおいてROR/NHR-23の標的遺伝子の転写リズムは発生から概日性の時間スケールへと周波数変調する *ポスター演題(P032)から採択
- 渡邉綾乃(筑波大学) 加齢に伴う概日リズム減弱の老化細胞除去による改善 *ポスター演題(P065)から採択
- 儀保伸吾(理化学研究所) 加齢に伴う概日リズム減弱の老化細胞除去による改善 *ポスター演題(P003)から採択
- 新谷正嶺(中部大学) 温めた心筋細胞では安定性と不安定性を併せ持ったサルコメア収縮リズムが顕在化する *ポスター演題(P107)から採択
概要:
これまでの大会では若手が口頭発表をするチャンスが多くはありませんでした。本大会では、シンポジウムの1枠を「次世代若手コロキウム」とし、ポスター発表者が口頭発表もできる場とします。今回は24名と多数の応募をいただきました。どれも魅力的な内容で選考は難航しましたが、できるだけ多様な研究分野を含む形で9演題を採択しました。ひとり12分の発表となります。発表時間の確保のため、質疑応答はポスターセッションでの活発な議論にてお願いします。
シンポジウム2:時間栄養学 ~未来の食スタイルに向けて~
座長:大池秀明(農研機構)、大石勝隆(産総研)
演者&テーマ:
- 柴田重信(早稲田大学) 時間栄養学の過去から未来へ
- 安尾しのぶ(九州大学) 食のタイミングと脳機能および食品成分による機能保護
- 守屋孝洋(奥羽大学) Chronic administration of enteric lactoferrin affects the photic responses of locomotor activity rhythm and the suprachiasmatic nucleus in mice
- 高橋将記(東京工業大学) ヒトの時間栄養学・時間運動学のエビデンスの現状と課題
- 松本昇子(名古屋大学) 腸内細菌叢が動物の季節応答に及ぼす影響 *ポスター演題(P101)から採択
概要:
近年、“時間栄養学”という言葉は学術界のみならず、栄養士や一般市民にまで浸透しつつある。 古典的な栄養学は、身体に必要な栄養素を明らかにする学問であったが、飽食の時代が続き、今では健康になるための食スタイル学が求められている。 食事の量やタイミングは、主に末梢概日時計の調節を介して臓器間ネットワークに影響し、エネルギー代謝や物質代謝、免疫や記憶といった高次機能の制御にまで影響を及ぼす。 本シンポジウムでは、これまでの時間栄養学研究が明らかにしてきたことを簡単にレビューした後、未来の健康科学に向かう最先端の時間栄養学について議論したい。
シンポジウム3:Oscillating Greens:光合成生物の概日リズム研究の今日的展開
座長:岩崎秀雄(早稲田大学)、小山時隆(京都大学)
演者&テーマ:
- 松尾拓哉(名古屋大学) 真核生物の概日振動メカニズムを緑藻から探る
- 吉田天士(京都大学) 海洋低次生態系におけるウイルス駆動の時計仕掛けの解明に向けて
- 河本尚大(大阪大学) 青色光/暗期サイクルで明らかになった概日時計の意義 *ポスター演題(P006)から採択
- 渡邊絵美理(東京大学大学院) 植物における同一細胞内の時計と異なる挙動を示す概日リズムの細胞非自律性 *ポスター演題(P022)から採択
- 前田明里(名古屋大学) RR5とTOC1はシロイヌナズナ概日時計の温度補償性に関わる *ポスター演題(P016)から採択
概要:
概日リズム現象の発見、光周性の発見、概日時計概念の提唱など、時間生物学はまずもって光合成生物研究に起源を持ちます。今回のシンポジウムでも、時間生物学の新たな展開を見据えた意欲的な試みに焦点を当てたいと考えています。そこでまず、ウィルスを含む海洋微生物生態系の時空間ダイナミクスというスケールの大きな分子生態学研究を主導しておられる吉田天士先生にご登壇頂きます。また、従来の転写翻訳振動モデルに変わる新たな発振パラダイムを、カサノリを用いて模索しておられる松尾拓哉会員にも、最新の進捗を報告していただきます。加えてシアノバクテリアや植物に関して、萌芽的な試みをしておられる若手の研究をポスター演題から数題採択し、ご発表頂きます。
シンポジウム4:哺乳類概日時計中枢「視交叉上核」の発見から半世紀で見えてきたもの
座長:小野大輔(名古屋大学)、平野有紗(筑波大学)
演者&テーマ:
- Rae Silver (Columbia University) A novel vascular SCN output pathway: the SCN-OVLT portal system
- 重吉康史(近畿大学) リミットサイクル振動子集合体である愛らしい視交叉上核について語りたい
- 池田真行(富山大学) ミトコンドリアLetm1による体内時計ペースメーカーニューロンの振動制御:その発見に至るまで
- 小野大輔(名古屋大学) Network-driven intracellular cAMP coordinates circadian rhythm in mouse suprachiasmatic nucleus
- 平野有沙(筑波大学) 概日リズム出力を担う神経メカニズムの解明
概要:
1972年に視交叉上核が概日時計の中枢として位置づけられてから、今年で半世紀を迎える。 これまで分子・細胞・個体レベルで、数多くの視交叉上核の研究が進められてきた。特に計測技術の発展により、視交叉上核の神経細胞そのものの性質や、神経ネットワークの動作原理が明らかにされてきた。また、近年の細胞機能操作技術の発展により、概日リズムの入出力系を含んだシステムレベルのメカニズムが明らかにされつつある。本シンポジウムでは、現在視交叉上核研究を展開する先鋭的な研究者を招き、概日リズム研究の過去から現在についてご発表いただく。
シンポジウム5:神経発達症と睡眠覚醒リズム
座長:太田英伸(秋田大学)、駒田陽子(東京工業大学)
演者&テーマ:
- 池田正明(埼玉医科大学) 神経発達症群に併発する概日リズム睡眠-覚醒障害:ふたつの病態をつなぐ生物学的関連性を探る
- 内匠透(神戸大学大学院医学研究科生理学分野) 神経発達症の脳科学
- 吉村優子(金沢大学人間社会研究域学校教育系) 自閉スペクトラム症児の睡眠問題と認知発達
- 南陽一(東京大学)青少年を対象とした大規模睡眠解析と神経発達障害者の睡眠計測
- 岡靖哲(愛媛大学)神経発達症における睡眠問題
概要:
自閉症スペクトラム症(ASD)・注意欠如多動症(ADHD)などの神経発達症では、不眠・過眠などの睡眠・覚醒障害や不登校などの適応障害を併存することが多い。睡眠自体が子どもの発達に重要な役割を果たすことや、睡眠が母子のメンタルヘルスに影響すること、そして就学・就職などの社会適応に影響することから、神経発達症と睡眠・覚醒障害の関係を理解することは重要である。本シンポジウムではこれまで明らかにされている神経発達症と睡眠の関連と病態メカニズムを整理し、今後の研究の方向性について基礎・臨床の両面から時間をとってしっかりと議論したい。
シンポジウム6:時間生物学の多様性
座長:飯郷雅之(宇都宮大学)、吉川朋子(富山大学)
演者&テーマ:
- 飯郷雅之(宇都宮大学)いろいろな生き物,いろいろなリズム
- 松本顕(順天堂大学)昆虫におけるオスとメスの時間生物学
- 吉種光(東京都医学総合研究所)概日時計クオーツ:真核生物でもタンパク質振動子が自律振動する可能性
- 久本洋子(東京大学)数十年に一度起こるタケ類の一斉開花現象の解明を目指して
- 岩崎秀雄(早稲田大学)「生命≒音楽」メタファーをめぐる生命美学的考察
概要:
時間生物学は、生物に内在する体内時計やその表現型であるさまざまなリズムや生物学的タイミングを研究する学問分野である。対象とする生物種は多様であり、かつ、分子レベル、細胞レベルから個体、生態系レベル、さらには付随する生命現象、社会現象に至るまで、多様な研究が展開されている。本シンポジウムでは、時間生物学の持つ多様な側面を捉え、時間生物学の過去・現在を振り返り、未来への礎とするため、様々な種の多様なリズムを取り上げる。また、本学会の初代会長でいらっしゃる千葉喜彦先生が2022年2月にご逝去された。その功績を振り返り、追悼する機会ともしたい。