三陸夏の学校「生物と時間」に参加して

工業技術院 生命工学工業技術研究所 時計遺伝子グループ 加香 孝一郎

 去る7月20日〜22日に岩手県の北里大学水産学部において、『三陸夏の学校「 生物と時間」』と題した研究会が行われました。主催されたのは北里大学水産学部の川内 浩司先生とその研究室の皆さんで、これまでにも何回か水産生物学関係の若手研究者を対 象に夏の学校を開催してこられたとか。

 今回の夏の学校は、北里大学医学部の長谷川建治先生の声掛けで実現したもので、 参加者は(今回に限って若手ばかりではなかったのですが)主として時間に関する生物学 と物理化学の研究者が中心でした。また、丁度学振の短期招聘で来日中だった Center for Biological Timing の Dr. G.D. Block も直前に行われた仙台での日本神経科学会に 引き続き、この夏の学校にも Special Lecturer として参加されました。

 今回の主旨は、単純な系(物理化学現象)から複雑な系(生命現象)までのリズム 現象の幅広い理解を試みるというものであり、時間生物学側の発表者は主として Two-oscilator systemの話がメインで、それに対し物理化学の発表者は非線形振動と非平衡熱力学か ら生物のリズム現象をモデル化する話がメインとなりました(プログラムの詳細は下記の 通り)。時間生物学という分野は、元来リズムという時間的な周期現象が、生物体にお いても同様に観察されるという事実から出発していると考えると、やはり物理化学的な観 点から説明しようとするアプローチも(決して今になって始まったものではないものの) 、重要なものであると思われます。日頃生物学(特に分子生物学や生理、生化学)以外の 分野に接することの少ない私にとっては、(少々難しかったところもありましたが)大変 勉強になりました。

 しかし、何と言っても今回この勉強会に参加して良かったと思えることは、三陸の 美しい自然に出会え、また豊かな海の幸に舌鼓を打てたことでしょう(そう感じたのは、 きっと私だけで無いはず)。そして、忘れてならないのは北里大学水産学部・海洋分子生 物学教室の川内浩司先生以下、スタッフの先生方、そして学生の皆さんの心尽くしのご準 備と、会の運営でした。

本当にお世話になりました。そして美しい東北の夏の思い出を、どうも有り難うござ いました。

<プログラム>

<参加者リスト(順不同)>



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編責: 大島五紀@塩野義製薬・実験動物
(1997/09/17)