第3回日本時間生物学会学術大会


第3回日本時間生物学会学術大会は去る1996年11月14日(木)、15日(金)に 山梨医科大学の田村康二先生を大会会長として甲府市総合市民会館で行わ れました。

以下に、当ホ−ムペ−ジ運営委員会のメンバ−でもある、名古屋大学の 吉村さんが、 寄稿された学術大会のリポ−トと、スナップ写真を掲載します。

第3回日本時間生物学会学術大会が去る1996年11月14日(木)、15日(金)の両日山梨医 科大学の田村康二先生を大会会長として甲府市総合市民会館で行われた。両日とも曇 ったり晴れたりの天気であったが、雲の合間には富士山を望むこともできた。会場は 街の中にあるにもかかわらず、空間が贅沢に使われた近代的な美しい建物であった。

 一般演題は内容によっておおまかに臨床系と基礎系にふりわけられ、二つの会場を使 って同時進行で行われた。今大会では新たな試みとして口頭発表者にポスターの掲示 も義務づけられた。発表者にとってはスライドとポスターの両方を準備する必要があ り、準備が少々大変であったことは否定できないが、短い口頭発表の中では出来ない 討論がポスターの場で十分に行えたため好評であった。またポスター会場が懇親会会 場を兼ねていたため懇親会の間も、ビールを片手に活発な議論がかわされていた。

 初日は一般講演の後に"時間生物学をいかに発展させるか?"というテーマのパネル ディスカッションとテキサスヒューストン大学から招待されたDr. Smolenskyの特別 講演が行われた。パネルディスカッションは千葉喜彦先生(山口大学理)、川崎晃一 先生(九州大学健康科学センター)の司会で、中島秀明先生(岡山大学理)、本間研一先 生(北海道大学医)、川村浩先生(東亜大学大学院)、Dr. Smolensky先生をパネリスト として迎え、パネリストのみならず会場からも将来の時間生物学のあり方について 熱い議論がかわされた。臨床時間生物学研究会と生物リズム研究会が日本時間生物 学会という一つの学会になってから今回が第3回目の学術大会であったが、残念なが ら臨床と基礎の間には依然として認識の違いがあることが浮き彫りになったが、今後 この分野の研究を発展させていくためには情報交換などを通じて両者が一つの歯車 となっていくことが重要であるという建設的な意見がでた。

 特別講演ではDr. Smolenskyによって"Chronopharmacology and Chronotherapeutics" というタイトルで薬の効率や安全性における時間の重要性について米国における臨床 の実例などをもとに興味深い話が繰り広げられた。

 二日目の一般演題の後には高橋清久先生(国立精神・神経センター)、劒邦夫先生 (山梨医大)の司会で"時計遺伝子から時間治療まで"と題したシンポジウムが行われ、 石田直理雄先生(通産省工技院生命研)、篠原一之先生(横浜市大医)、本橋豊先生 (秋田大医)、石束嘉和先生(山梨医大)、井尻裕先生(山梨医大)により最新の研究成 果が発表された。熱い興奮の冷めやらぬうちに大会長による閉会式で第3回大会は 大成功のうちに幕を閉じた。



第3回日本時間生物学会学術大会のスナップ写真


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編責: 大島五紀@塩野義製薬・実験動物 (1997/01/18)
吉田尚生@北大・地球環境 (1997/01/25)