日本時間生物学会

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日本時間生物学会理事長就任挨拶

深田吉孝(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻)

 このたび2017年1月1日付けで近藤孝男 前理事長(名古屋大学 大学院理学研究科)の後任として日本時間生物学会の第5期理事長をお引き受けすることになりました。これまで、会長あるいは理事長として日本時間生物学会の立ち上げとその後の発展にご尽力された千葉喜彦先生、高橋清久先生、本間研一先生、近藤孝男先生のお仕事を見習い、また会員の皆様のご協力を頂きながら、本学会のさらなる発展に貢献したいと考えております。どうかよろしくお願い致します。

 

 生物の長い進化の歴史を通して地球の自転と公転は生物に大きな影響を与えました。地球環境の周期的な変化に対応した生物の応答・馴化・予知の仕組みを明らかにすること、さらに、これらを基にして長期的な生物の過去から現在までの変遷を検証すること、さらには将来の人類の繁栄に資すること、が本学会の使命だと思います。とくに現在の本学会にとって重要な課題として、私は三つのことを考えています。

 第一は、学会活動の大きな位置を占める学術大会についてです。最近の大会の一般講演やシンポジウムの演題名を見ると、生物種は多岐にわたりますがある傾向に気付きます。時計遺伝子・時計タンパク質に関する演題が増え、一方で、睡眠や社会生活をはじめとする生理学的あるいは社会医学的な問題、さらには最も身近なヒトの生活に関する課題を扱った発表が減少傾向にあります。本学会は他の学会に比べて圧倒的な学際性を特徴としてきましたが、その特徴が薄れつつあるのではないでしょうか。睡眠や生活習慣、食事、子供の生活など、身近で重要な問題が本学会からやや離れているように見えることには大きな危惧を感じます。今後、生理学的研究や臨床医学・社会医学の分野における研究の重要性に、より一層注目したいと思います。本学会の学際的な特徴が、学術大会での一般演題やシンポジウムテーマにも反映されるよう学会員の皆様の積極的なご協力をいただき、単なる復古ではなくネオ・クロノバイオロジーを目指します。

 第二は、本学会の国際的な交流です。私の個人的な印象として、これは極めて順調ではないかと思います。1995年、生物リズム研究会と臨床時間生物学研究会が合併して日本時間生物学会が設立されましたが、とくに本間研一先生(第3期理事長)を中心とした国際的な活動は、本学会の国際的な存在感を著しく高めました。さらに近藤孝男先生(第4期理事長)はこの方向性を継承し、海外の時間生物学学術団体との協力関係を強く推進されました。最近では、アジアの時間生物学分野の発展に向けた我が国のリーダーシップも求められています。このような、日本時間生物学会の国際的な役割を今後も大事にしたいと考えています。国外の著名な研究者を我が国の学術大会にご招待して国際性を高められるよう、学会が大会に資金援助する制度も確立しています。ぜひ活用していただきたいと思います。

 第三は若手の活性化です。ずいぶん昔の理事会に、若手の会の代表者が来られて要望を述べられたことが強く印象に残っています。いま若手は元気でしょうか?本学会の会員数の変化を見ると、学会創立時の200名程度から、あっという間に400名に増え、500名を超え、そして最近では600名を超えました。爆発的な会員数の上昇ではなく、少しずつ着実に会員が増えていることは、本学会が健全に発展していることを表していると思います。大学院生を始めとする若手研究者が増え続けていると信じていますが、学会としては若手研究者の活動をできるだけサポートしてゆきたいと考えます。また、本学会のHPには「時間生物学を研究する研究室」の一覧がありますが、これが年々増えています。時間生物学の研究ユニット数が全国でこれほど着実に増え続けているのは素晴らしいことで、若手研究者の活躍の場が増えていることを示していると思います。

 最後になりましたが、学会の運営には、事務局長・副理事長をはじめ理事の方々のご協力が不可欠です。それにもまして、学会の真の発展は、会員皆様の毎日の研究と成果、さらには積極的な貢献が必須です。どうか会員の皆様の要望やお考えを積極的にお寄せ頂くよう、お願いいたします。

                        

2017年6月 記