日本時間生物学会

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日本時間生物学会理事長就任挨拶

近藤孝男(名古屋大学理学研究科生命理学専攻)

この度、本間研一先生の後任として、日本時間生物学会の理事長をお引き受けすることになりました。日本時間生物学会の立ち上げとその後の発展に会長あるいは理事長としてご尽力された千葉喜彦先生、高橋清久先生、本間研一先生のお仕事を見習い、また会員の皆様のご協力を頂きながら、学会のさらなる発展に貢献できればと考えております。どうか、よろしくお願い致します。

 

 生息する地球の周期性に対応した生命の多様な営みを解明し、その知見に基づき、人類の生活に資することが時間生物学会の目指すところです。人類が生物時計に気付いたのは随分昔に遡ることが出来ますが、概日時計の研究を核とした多様な生命現象が進化・適応の所産として位置づけられ、その生理学的解析が本格的に開始されたのも、すでに半世紀以上前のことです。その後、現在に至るまで、研究の進展はまことに目覚ましいものがあり、50年前には予想もされていなかった多くの事実が明らかになっています。この経緯は、学会誌、時間生物学の15巻の巻頭言に書きましたので繰り返しませんが、こうした感想は多くの方もお持ちかと思います。 このように概日時計の分子レベルの理解が大きく進んだことは、概日時計研究の求心性を低下させると言う指摘ありますが、それは正しくないかと思います。分子レベルの理解を目指す立場からも、その生理学的意義を追求し人類の幸福に貢献しようとする立場からも、時間生物学が地球の周期性に基づいた生命科学であるということは不変です。生命が地球上で発生し展開してきたこと、そして今後もおそらくそうである事を考えれば、研究が進展すればするほど、理解は深まり、様々な応用の可能性が広がります。ですから、時間生物学会の活動もさらに発展することはあっても、縮小するようなことはないと思われます。一方、環境との調和やその持続性が求められ、質の高い生活が追求される社会的な側面からも、時間生物学の重要性は大きくなると思われます。しかし、ここではなにより、多様な生命現象の研究者がつどい協力して、基礎的解析も応用的展開も隔てなく討議出来る学会の意義を再確認したいと思います。これは単に理学系、医学系、農学系などの多彩な生物種にわたる現象をあつかうということだけでなく、数理・情報系、工学系、社会学系なども含んだ、総合科学を目指すことが出来る学会であることです。こうした特徴をかけがえのないものとして、大切にしたいと思います。

 日本時間生物学会は、1995年、生物リズム研究会と臨床時間生物学研究会が合併して設立されましたが、合併まえの期間も合わせ、日本時間生物学会はこれまでの概日時計の解明に大きく貢献してきました。概日時計研究はヨーロッパで始まり、アメリカで大きく発展しましたが、いまや日本時間生物学会は概日時計研究を担う学会として欠くことの出来ない学会として評価されています。言うまでもなく、これは会員各位の研究成果によるものですが、これを支えた学会の活動も重要です。特に、本間前理事長を中心とした国際的な活動は、学会の国際的な存在感を高めてきました。この成果を大切にし、海外の時間生物学学会との協力を一層推進していきたいと考えています。

 最後になりましたが、学会の運営には、事務局長を始め理事の方々のご協力が不可欠ですが、それにもまして、学会の今後の発展は、会員各位の研究に基づく、積極的な提案と参加が重要です。どうか会員の皆様の要望をできるだけお寄せ頂くようお願いします。

                        

2011年5月 記